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車輪の国、向日葵の少女レビュー




車輪の国、向日葵の少女レビュー(ネタバレなし)


合計点 98 個人的総評
シナリオ 9  君望につぐ、98点となりました。(お勧めの泣きゲーで、現在第2位)

 一番評価できるのは、シナリオとストーリーのおもしろさです。
 日常シーンは、笑える部分もありますし、謎を徐々に解き明かしていく部分もあるので、推理ものやミステリーをやってるような感覚でプレイできました。
 そして、君望以上に泣いてしまいました。
 ラストは、謎が解けていくにつれて鬱になりがちですが、相手の一手、二手先を読んだ(つまり、主人公がこの後、取る行動が手に取るようにわかっている)行動に次はどうなるんだろうとハラハラドキドキさせてくれる緊張感が最後まであります。
 そして、各キャラエンドのラストも泣かせてくれるシナリオもありました。
 でも、誤字、脱字が多かったのは残念です。その分、シナリオを減点しています。

 その他の総評ですが、絵はきれいですし、音楽もその場面ごとにBGMが合っていて、雰囲気は楽しめたと思います。
 普通のギャルゲーと違うのは、主人公の顔が出ているという点です。
一般のギャルゲーは目の部分を隠しているのが普通ですが、これは斬新でした。
 声優の方たちもいい仕事をしていて、泣きを助長させてくれました。

システムですが、セーブ画面が100箇所ありますし、ショートカット一覧という機能の説明があるので、その場の気分によってオートモードにしたり、しなかったり、声を入れたり入れなかったりとプレイヤーに任せている点はいいと思います。 でも、オートモードはシステムの中にちゃんと入れて欲しかったです。

ここまで満足できたゲームは、そうそうありません。各キャラエンドも納得できるものでしたので、不満となるところも特にありませんでした。

ちなみに、2ちゃんねるでは、泣いた、泣かないの評価は分かれましたが、共通して出ていたのは、シナリオがよかったというのがありました。
また、他のサイトのレビューでは、世界観の設定がしっかりしているから、その分やり応えはあった というのもありました。
ストーリー 10
グラフィック 10
音楽 10
システム 9
お勧め度 10
泣き度 10
鬱度 10
萌え度 10
満足度 10


目次

基本データ  このゲームとは?  世界観の説明  ストーリー構成  キャラ紹介
お勧め攻略  買った理由  システム  音楽  用語説明  プレイ後の謎

基本データ

   
項目
内容
メーカー名
AB2(あかべぇそふとつぅ)
発売日
2005.11.25
ヴォイス
主人公以外あり
音楽
tiko-ц
OP曲
「紅空恋歌(あかぞられんか)」 片霧烈火
ED曲
「祝福の大地、暁光(ぎょうこう)の世界」 片霧烈火
原画
有葉
シナリオ
るーすぼーい
デモ
オープニングムービー2種類、主題歌DL可能
体験版
第一章、第二章DL可能(2ちゃんねるより)
ただし、650MBあるので、体験版をDLするときは要注意!
エンディング
バッドエンドも含めて全部で9種類


車輪の国、向日葵の少女とは?


初夏。
罪を犯すと『特別な義務』を負わされる社会。
罪人を更正指導する『特別高等人』という職業を目指す主人公、森田賢一は
、その最終試験のため、とある田舎町を訪れる。
『1日が12時間しかない』、『大人になれない』などといった義務を負う少女たちと学園生活を送るが、『恋愛できない』少女、夏咲(なつみ)と出会ってから、賢一の歯車が狂いだす。
崖にひっそりと建てられた自分の墓、山間洞窟に隠された父親の遺産が次々と賢一を追い詰めた。
贖罪を問われることになった男が見た、車輪の国の真実とは……
重厚な世界観を軽妙なタッチで描いた、感動のヒューマンドラマ。(パッケージより)

(補足説明)

 義務を負った(刑務所で言うと服役中)少女を更正し、特別高等人(この世で一番権力のある職業)を目指すゲーム。
 特別高等人見習いの主人公の最終試験として、三人の義務を負った少女を監督し更正を目指していきます。
 少女は最初更正する気は全くありませんが、それで起こる問題や衝突を乗り越え、更正し義務が解消されるときに
涙が出てくるゲームです。
 姉妹愛や家族愛で泣きたい人には、お勧めのゲームです。


世界観の説明


 日本の片田舎のように見える異世界(名前も日本人名)なのに、日本ではないので、ここで世界観の説明をしておこうと思います。

 まず、この国(以下、車輪の国とします)には、刑務所という概念がありません。
 だから、人を殺そうが、強盗しようが、警察には捕まりますけど、刑務所に行く必要はなく社会に野放しにされます。
 でも、人を殺した殺人犯が社会に野放しにされたら、いつ殺人犯に出くわすかわからないから毎日が不安になったりしますよね。

 そこで、この車輪の国では、犯罪人を更生するために義務という制度を使い、特別高等人という職業の人に、その犯罪者の義務の管理や監督、指導をします。
 つまり、特別高等人の仕事は、犯罪者が義務を守っているか監視したり、その人の社会生活態度を見守ったりして、「これなら、もう大丈夫だろう」と判断すれば、義務から解放(刑務所でいう釈放)になります。

 特別高等人は、そういう意味で、犯罪人に対しての権限(義務を負わせたり、帳消しにしたりできる)を持たされているので、極めて重要な任務ということになります。  



ストーリー構成

説明
第一章
特別高等人
特別高等人最終試験として、森田賢一は更正させる三人のヒロインに接触。

個人的な感想
最初が衝撃的でした。以下↓はネタバレ防止のため伏字にしています。
最終試験の場所も不明で、わずか10秒遅刻してきた候補生を上司が射殺してましたから、衝撃的すぎます。
ここで、いろいろと三人の家庭環境やら性格やらがわかってくるので、続きが楽しみになるところです。
第二章


さちの更正シーン。

個人的な感想
とりあえず、泣けます。↓以下、ネタバレなので伏字。
マナマナ……いえ、まなが健気過ぎて、ハァハァ……じゃなくて、その健気さに泣けます。
というより、あの泣かせ方は反則です。

途中で、3回くらい泣いてしまいました。↓以下もネタバレなので伏字。
「まなのお姉ちゃんは、すごいんだよ!」
このまなの一言が、さちルートの全てを物語っているといっても過言ではありません。


あと、一言言えることは、比較的クリアしやすい(さちエンドになりやすい)です。
エロシーンを拒めば、別のエンドになります。
第三章
食卓


灯花(とうか)の更正シーン。

個人的な感想
ラストが、泣けます。↓以下ネタバレなので伏字。
「そうやって、世の中が、いつもそうやって、理不尽な選択を迫ってくるというのなら……
仕方がないことだって、知ったふうに大人面するような社会なら……私は、一生子供でいい! そう決めたの!
みんなが幸せになることを選んで、なにがおかしいの?
無理なんかじゃない。ぜんぜん、簡単なことだよ」

このセリフは考えさせられます。というより、このセリフを言える強さが欲しいと
森田健一は言っていましたが、自分も本当に欲しいです。

この中の一番の魅力は、灯花のツンデレと母親のヤンキーっぽいセリフです。
「ぶっ殺すぞ!」というセリフは親子とも言っていますが、母親のほうがドスが聞いていて
迫力があります。

この章は人間ドラマが一番あったように思いました。
母親が灯花に厳しく当たったり、義務を解消しなかったり、料理を禁止したり、
手料理を作らないから、いつもコンビニ弁当なのも全てが人間ドラマになっています。
最後に究極の二択を灯花に迫られたりと人生はこういう岐路に立たされることがあると
改めて知りました。

あと、さちのエロシーンを拒んで灯花の誘いを受ければ、灯花ルートになります。
でも、そうなった場合、第四章を見て、かなり引きました。
だって、夏咲の更生中に灯花の家に行って、そのままベッドシーンだからです。
第四章
手のひら


夏咲(なつみ)の更正シーン。

個人的な感想
泣くことはありませんでしたが、義務を負わされた理由のところは
かなりの鬱
になります。
「そこまでやるか! 国家権力……」という状態です。

この章の見所は、夏咲の天然ボケに注目です。
ある意味、Kanonの名雪以上の天然ボケぶりです。
口癖の「ですです」や「どもどもです」には萌えました。

そして、過去の回想シーンが多いです。
昔の夏咲が「SHUFFLE!」のシアそっくりなのには驚きました。

この夏咲のところは、最後の夏咲エンドに行くのが難しかったです。
攻略サイトを見て攻略しましたから。
7日目の選択肢は夏咲の返事を待つを選択しないと無理みたいです。
何回やっても攻略できなかったのは、もうひとつのほうを選んでいたからだと
後で気づきました。
第五章
車輪の国


車輪の国の真実に迫るストーリー。

個人的な感想
最初に回想シーンで、森田健一が特別高等人になった経緯が出てきますが、
見終わった後でかなりの鬱になります。↓以下はネタバレなので伏字。
極刑があんな刑だったとはというのを知って鬱になりました。

笑えるところは、灯花の過去の回想シーンが出てくるところです。
「灯花をツンデレにしたのは、おまえかよ!」という突っ込みを入れたくもなりました。
でも、声が幼いから「ぶっ殺すぞ!」という萌えセリフにハァハァしてしまいました。

これは、昔の革命をもう一度ということで進んでいきますが、
こちらの一手、二手先を読んだ行動に最後までハラハラドキドキしました。
逆転に次ぐ逆転、さらに逆転、そして最後の大ドンデン返し……
さすがに、このシナリオは読んですごいと思いました。
終章
それぞれのキャラルートエンド


個人的な感想
全部で五種類あります。さちエンド、灯花エンド、夏咲エンド、隠れキャラエンド、そして
ハーレムエンドの全五種類です。 バッドエンドを入れると全部で九種類になります。

さちエンドだけが一番泣けました。
どういうエンディングなのかわかっているにも関わらず、泣いてしまったのが、このゲームの
すごいところです。

( TДT) ウワァァァァァン
ここにきて最後の最後でぶち込んでくれましたよ。。。
わかっていた展開なのに、なんでこんなにも涙が出るんだよー!!!!
(某サイトのレビューで、さちエンドの感想をこのように書いているのもありました)

他のエンディングは普通で、隠れキャラエンドは一番納得できたので、
たぶん、このエンディングが公式エンドだと思います。
エロシーンがエンディング後にあるというのが納得いきませんでしたが。
自分は、このエンディングが一番だと思っていますし、ぜひとも主人公は父のやろうとした
意思を継いで、車輪の国を変えて欲しい
と個人的に思っています。



キャラ紹介

各キャラを見たい方は、
AB2(あかべぇそふとつぅ)のサイト上で見てもらえればと思います。
 ただし、森田賢一(樋口健)、樋口璃々子、樋口三郎の画像は出ていません。
 ネタバレのところは、伏字にしています。    
キャラ名
説明
森田賢一
(もりたけんいち)

キャラ説明

 本編の主人公。
 本名は、樋口健(ひぐちけん)。
 父が起こした革命によって、一家は離散。公式文書では、一家は死亡したことになっている。

 革命後、法月(ほうづき)に拾われ、特別高等人見習いとして教育や思想を叩きこまれた後、
特別高等人の採取試験として、以前住んでいた田舎に戻ってきた。
 特別高等人見習いの頃に、他国の戦争に参加したこともあり、司令官を殺して英雄になったこともある。
でも、その代償として麻薬(葉っぱ?)中毒
になってしまう。
ちなみに、上司の法月はこのことを黙認している。
 また、経営の才能もあって、大企業の社長として会社を運営している。

 そして、見習いの最終試験として、かつては仲間だったヒロインの義務の更正を任せられることになる。

 ただ、独り言が多く、いつも「なぁ、あんたもそう思うだろ?」と
プレイヤーに語りかけてくることがある。
 そのため、「それじゃ、そのあんたさんという分の食事も用意してあげましょうか?」と
第三章で皮肉を込めて言われたりする
こともある。


名セリフ集

・おれは森田賢一だ。将来、人をアゴで使う身分になる男だ(第一章より)

・人の気持ちがわからなきゃ、人の面倒はみれんだろ?
世の中にはいろんな職業の義務を持った人がいるわけでさ……(第一章より)

・仲間を見捨てて、仲間を疑って……なにやってんだろ、おれ。(第二章より)

・鬼軍曹はいつでも憎まれ役にならなきゃダメなんだ(第二章より)

・断言するが、お前の気持ちがわかるとかいう輩の八割は嘘つきだ。
一割は善良な人。
最後の一割は、おれみたいに、わからないと知ってて、なお相手を追い詰めるようなゲス野郎。(第二章より)

・試験の過程でおれが学んだのは、人間追い詰められれば、けっこうなんとかなるってこと
そして、自分が限界だと思ってる以上に、限界ってのは天井が高いってこと(第二章より)



日向 夏咲
(ひなた なつみ)

キャラ説明

 ヒロインの一人。第四章で夏咲の更正を担当。恋愛したらいけない義務を課されている。
 そのため、異性に物を渡すときは、手を触れたらいけない決まりになっている。
 手を触れているのを見つかったら、本人はもちろん、手が触れた相手のほうも強制収容所行きになるという
周りがガクガクブルブルしてしまう義務である。

 そのため、おとなしくて気が弱く、人とつきあうのを極端に嫌がっている。
 両親は強制収容所に送られているので、寮に一人で暮らしている。

 下の名セリフ集を見たらわかると思いますが、小さい頃、健(主人公)のことに好意を寄せていて、
 革命後に失踪した健の帰りを今も待っている状態。
 公式文書では、健は死亡となっているので、墓を作り、命日(失踪した日)には花を供えている。

 最終試験前に、法月にそのことを知られてしまったので、三人の中で更正を一番最後にされてしまう。
 なお、小さい頃の夏咲が回想シーンで出てくることがあるが、「SHUFFLE!」のシアにそっくりである。  

名セリフ集

・わたし、そういう子ですから。男の人とたくさんつきあって、ひどいことをしたから、これはしょうがないんです。
ごめんなさい。だから、あんまりわたしと仲良くならないほうがいいんです。(第一章より)

・わたしって、渦巻きを見るとぼーっとするし、ちくわを見るとひとさし指を穴に通したくなるし、
マカロニを見ると、口にくわえて水をちゅーちゅー吸いたくなるんです……
ナマモノは、本当に、誘惑が多いです……気が重くなります。(第四章より)

・だから、ぼくはどうしようもないヤツなんだってば! 臆病で、内気で、
 ちょっといじめられただけで家にひきこもるようなつまんない人間なんだ。(by 健)

 ちょっといじめられただけで家にひきこもるような子とは、お友達になっちゃいけないの?
なにか得がないと、お友達になっちゃいけないの?(第四章より)

・もう……そうやって過去をかき乱すの……やめて、くださいっ。(第四章より)

・世の中を否定してるのに、ど、どうしてそんな態度でいるんだろうって……
あ、会った時から、ずっと思ってました。
それが、わたしには理解できません……だって……無意味じゃないですか……
がんばったって、世の中が嫌いなんですから、そんなの……勝手な思い込みです。(第四章より)

・世の中は、最初から全部決まってるんです……わたしなんかがちょっとがんばっても、無駄なんです……
(第四章より)

・なにもかもつまんなくて……夏が来て、風が吹いて、暑くなって、毎日学園に通って…………
なにか面白いことありますか?
だって、たとえケンちゃんが帰って来たとしても、わたしは……こんな義務を持ったわたしなんか……きっと……
……き、嫌われちゃう……(第一章より)

・そ、そんな、そんなこと言われたら……っ! 信じるなんていわれたら、裏切れないじゃないですか!
(第四章より)

・ケンちゃんの知っているわたしは、もう、いなくなっちゃったんだよぉ!(第四章より)



三ツ廣 さち
(みつとも さち)

キャラ説明

 ヒロインの一人。第二章でさちの更正を担当。一日が十二時間になる義務を課されている。
 午前7時になったら起きて、午後7時になったら特殊な薬を飲んで、強制的に体の機能を停止させられる。
 ちなみに、薬を飲んでいる間は、眠気は取れないので眠ったことにはならない。

 更正させるには、働かせればいいのだが、働くことを嫌がっていて、株のデイトレードで生計を立てている。
 異民族のまなを妹として、一緒に暮らしている。
 ブームや儲け話には目がなく、イケてるものを集めている。

 性格は明るく外交的で、主人公をモリケンと呼んでいる。
 森田賢一は、働かないさちに最初は手を焼くが、昔、絵を描いて賞を取っていたことを知る。
 昔、樋口健とさちは仲間の関係だが、革命後に仲間を裏切って逃げたため、健のことを今も憎んでいる。
 ちなみに、さちの声をよく聞くと新谷○子の声によく似ています。 

名セリフ集

・さあて、今日もびりっとがんばるぞーっと!(第二章より)

・うーんとねぇ、言ってもいいんだけど、人名とか商標とかキャラ名っていろいろとピーピーうるさいから
やめておくね。(第三章より)

・ブームには追いついていくよぉ。どこに儲け話が転がってるかわからないしね。(第一章より)

・だって、働くなんてめんどくさいじゃん。いまの世の中、こつこつ努力しても報われないってば。
別に働かなくたってお金があるんだからいいじゃん。(第二章より)

・そうそう。責任を取ってくれるヤツがいないと不安なのよ。(第二章より)

・『夏咲のためにも』とか、『お前のためにも』とかね……誰かのためにって口に出すのは、なんか変だなって。
うーん、本当に誰かのためって考えている人は、きっと、そういうのを口に出さないと思うんだよぉ……
(第三章より)

・あたしって、てきとーだけど、これはマジでやってたんだって……ノリでなんとかなるもんじゃないんだって……
なにが元気よ……あたし、最低じゃん……
……あたし、気づいてる……このままじゃダメになっちゃうってこと……
お姉ちゃんには、無理なんだよおぉぉぉっ!(第二章より)

・どうにもならないなんて……そんなの理不尽すぎるよ!(第二章より)

・もう、絵は嫌い……誰も喜んでくれなかったから……(第二章より)


大音 灯花
(おおね とうか)

キャラ説明

 ヒロインの一人。第三章で灯花の更正を担当。親の命令には絶対服従する義務を課されている。
 そのため、大人になることを禁止されている。
 だから、おとなしいキャラなのかというと、そうではなく、典型的なツンデレ。
 森田賢一をフルネームで呼び捨てにして、からかうと「ぶっ殺すぞ!」という口癖を発する。
 そして、灯花ルートになるとデレデレとしてくる。

 父はいなく、母親の京子(きょうこ)との二人暮し。
 母親(学校の教師)の言うことには、逆らえないのだが、厳しいしつけのため疲れを見せている。
 でも、母親が嫌いというわけではなく、むしろ好意を寄せている性格は優しい少女。

 料理を得意とするが、母親の京子から止められている。
 京子は料理もしないで、いつも弁当で済ませていることに森田賢一は疑問を抱く。

名セリフ集

・私も、お母さんがいなくてもやっていけるっていうところ見せてあげるんだ。(第一章より)

・え!? 日本円で十万っていったら世界制服ができるでしょう!?(第二章より)

・でも、守らなかったら大変なことになるって言われてたら、なんだか息苦しいよ。
……もちろん、お母さんをそんな危険な目に合わせたくないよ。(第三章より)

・なんていうか、お母さんがつらい目にあうのは嫌なんです。でも、ずっとこんな毎日が続くのも嫌なんです。
どうすれば、全部上手くいくのかな……?(第三章より)

・なんで大人も子供も平等に扱われないの?(第三章より)

・女の子が、一番初めに恋をする相手は、お父さんなんだって。
お、お父さんって、賢一みたいなこういう匂いなのかな?(第三章より)

・私は子供じゃない。これからは、お母さんの顔色をうかがわないで、自分で考えていくって決めたの。
誰にも頼らないで、自立してみせるの。他人から押し付けられるルールなんて、もう、うんざり……
(第三章より)

・私、馬鹿だから、お母さんの助けがいるよ……(第三章より)

・みんなが幸せになることを選んで、なにがおかしいの? 無理なんかじゃない。ぜんぜん、簡単なことだよ。
(第三章より)


法月 将臣
(ほうづき まさおみ)

ここから以下はサブキャラです。

キャラ説明

 特別高等人で、森田賢一の上司。厳格な指導者。
 特別高等人としての最終試験で、この田舎町の特別高等人に赴任する。
 結果を先取りした言動で、賢一を圧迫、思考や理念はまったく理解できない。

 賢一とは七年の付き合いがあるが、知っているのは左足を負傷して杖をついているということのみ。
 逆に法月は、賢一のことは何でも知っているということで、賢一にいろいろと文句を言ってくる。
 ちなみに声は、「吉永さん家のガーゴイル」のガーゴイル役や「ニニンがシノブ伝」の音速丸役、
「家族計画」の寛役の若本規夫です。
 いつもはギャグキャラとしての役が多いですが。今回はギャグは一切なくクール一色なキャラを演じています。

 ちなみに、法月の名言集は多いので後にひとつにまとめています。


まな

キャラ説明

 さちと一緒に暮らしている移民の少女。(幼い話し方なのを考えると8歳〜10歳くらい)
 その前は、戦争で両親を殺されて、帰る国もなく孤児として暮らしていたところをさちに拾われる。
 面倒くさがりなさちに変わって、家事を行っているが、本人は幸せのようだ。

 南方出身で、しかも戦争が起きていたときは捕虜として連れてこられた経緯もあって、差別を受けている。
 それでも、24時間営業のスーパーで深夜の清掃をしたりとさちのために健気なことをしています。
 さちルートでは、まなの健気さにハァハァしてしまいます。
 まなはまなでも、マナマナとは偉い違いです。

名セリフ集

・「まなのお姉ちゃんは、すごいんだよぉっ!」(第二章より)

・まなは、自分の国があるのに、どうしてこの国にいるのかな?(第二章より)

・だって、まな、お金があったらもっと勉強の本買うよ。
 お金があったら、たくさんお金を使いたくなるんだよ。だからすぐなくなるんだよ(第二章より)

・よくわかんないけど、お姉ちゃんは悪くないよぉ。悪いのは、もっと違うところにあると思うの。(第二章より)

・だから、ハアハアするんでしょ?(第二章より)

・(お姉ちゃんと)結婚すればいいのに。そしたらみんなずっと一緒だよ?(第二章より)

・だって、そんなになんでもかんでも細かいところまで国に決められてたら、なんだか息苦しいよぉ(第二章より)

・どんなにまながお姉ちゃんに嫌われても、絵を描くことがお姉ちゃんにとって一番いいんだよ
(第二章より)

・わかんないよぉ! お姉ちゃんに意地悪しないで!(第二章より)


樋口 三郎
(ひぐち さぶろう)

キャラ説明

 主人公健と主人公の姉璃々子の父。元は特別高等人で、法月とは友人の関係にある。
 特別高等人をやめてからは革命家となり、特別高等法の撤廃を求めて革命を起こすが失敗。
 法月によって殺害される。
 そして、息子の健や璃々子も連座制(家族の連帯責任)が適用されて、処刑されたと公式文書には記載。

 学校の教科書でも、革命を起こした樋口三郎はナチスのヒトラーのように極悪人と記されているが、
三郎の思想はさちやセピアには素晴らしいと支持されている。
 どんな思想なのかはこのゲームでは出てこないので、気になりますが。

 父親としての三郎は、かなり気さくで、いくつもの女性と過ごしていたこともあって、
健は母親がたくさんいたと回想シーンで語っていました。

名セリフ集

 ・お父さんはこれから、いろんな人を不幸にするような大きなことをしようと思っている。
 お父さんたちの世代が不幸でも、未来のお前たちが幸せであることを願う。
 そう思って、お父さんは武器を取る。
 お前は、璃々子と二人で幸せに暮らすように。
 決して、お父さんのようになろうなどと思わないことだ。
 P.S.プレイ○テーション(第二章の手紙より)
 (最後のP.S.は笑ってしまいました)


樋口 璃々子
(ひぐち りりこ)

キャラ説明

 主人公健の姉。でも、血は繋がっていないが実の弟のようにかわいがっている。
 各章の初めに、健の過去の回想シーンが出てきますが、この人、別の意味で壊れているから怖いです。

 いきなり健の寝込みを襲って強引に手で射精するところがあったり、
クイズに間違うと赤い蝋燭をたらしたりすることもあります。
 こうして、健は璃々子に調教されて、ハードMを自称するようになりました。
 この回想シーンは、あまりエロくもグロくもないので、怪しく笑う璃々子に笑えます。

 ギャグだけでなく、シリアスな一面もあって、璃々子はいつも健のことを守ってきました。
だから、健から見て璃々子は精神的に強いと思っています。
でも、実際は名セリフ集の最後を見たらわかるように、逆に健に守られたいと望んでいるわけですね。

 そして、璃々子は都会の大学に進学することになり、この村を離れていきました。
その後、革命の連座制で処刑となってしまいます。

 でも、このゲームをプレイした人は言うでしょう。璃々子様、万歳!と。
 個人的に、このゲームで一番好きなキャラは璃々子です。
 それくらい、ギャグで印象に残るキャラでした。
 また、口癖の「ドンマイ、私」とかわいく言うセリフに萌えました。

名セリフ集

・ああ、なんかお姉ちゃんドキドキしてきちゃった。コレ危ないよー。私なにかに目覚めちゃったよー
(第三章より)

・でもね、いまの世の中、どれだけ知識があってもダメなの。
 知識を知恵に変えて、行動に移せる能力こそが問われる社会なのよ。
 あなたがどれだけ知識を持っていても、いざっていうときにそれを発揮できなかったらダメでしょ?
 要するに、胆力よ。どんな人の前でも、どんな状況でも、自分の意思を伝えることができる強さを持ちなさい。
(第三章より)
(SM用の赤いろうそくを持ちながら、そんなことを言われても説得力がないような気が……)

・がんばるのよ。お姉ちゃん、いつか、健に守ってもらうんだからね。
 いつか、あんたが私の前に立つのよ。私は健の背中をずっと見ている……そんな毎日がいいな……
(第三章より)


南雲 えり
(みなみぐも えり)

キャラ説明

 森田賢一と同じ特別高等人候補生。特別高等人の最終試験を受けるために田舎町を訪れる。
 そして、10秒試験場所に遅刻したという理由で、法月によって銃殺されてしまいます。
 何のために出たんだ。この人は?と思いたくなりました。後から生き返っていたら話は別ですが。

 周囲からは天才と言われた才女で、一年に一人出るか出ないかと言われている
特別高等人最終試験最有力合格者である。
 でも、思いやり溢れる性格のために優先順位を間違えることがある。
 それが返って、法月に殺されるということに結びつくわけですね。

名セリフ集

・特別高等人の試験は、哲人科挙と呼ばれるほどの狭き門……(第一章より)

・昼夜を問わず歩いてきたのですが、途中水害で氾濫していた川に出くわしてしまいまして……(第一章より)


卯月 セピア
(うづき セピア)

キャラ説明

 イケメン顔の美青年で、さち、灯花、夏咲のクラスメート。当然、昔は健と友達だった。
 自称童話作家。
 でも、この人も璃々子と同じく、性格が壊れているから怖いです。
 いきなり笑い出したり、赤壁の戦いを再現できたらいいよと意味不明なことを言ったり……

 前髪を触られるとなぜかキレます。
 本名は磯野くんと言いますが磯野くんと言っても「セピアと呼んでくれ!」と言ってキレます。

 声はよく聞くと子安武人の声に似ています。

  名セリフ集

・僕は変じゃない。ちょっとグロいとこあるけど、家事もするよ。(第一章より)

・逃げる。しかし回り込まれた。みたいなことを八回繰り返す前に死んでみる?(第一章より)

・僕は赤壁の戦いを再現できれば、それでいいよ。(第一章より)

・本気になった方が負け。若者の世の中じゃ、なんでもそうだよ(第二章より)

・長年売れない作家をやっていれば、観察力が身につくものでね。(第二章より)

・どんな物語でも裏切り者は悲惨な末路をたどるものだよ。(第二章より)


大音 京子
(おおね きょうこ)

キャラ説明

 灯花の母親で、灯花が通う学校の教師でもある。
 学校の生徒からの評判はいい。
 でも、家では灯花に厳しく当たる。
 そして、台所はあるのに手料理を作ることがない。
 いつも、コンビニ弁当で済ませていて、食事中家族の会話もない。
 また、犬とか負けとかを言うと怒る。

 注目するところは「ぶっ殺すぞ!」というセリフです。
 かなりドスが聞いているので迫力があります。

名セリフ集

・私の部屋には入らないでね。入ったらぶっ殺すぞ!(第三章より)

・灯花、何度も言うけれど、あなたは国立の大学にしか行けないのよ?
 森田くんだって、立派な大学を卒業してるんでしょう?
 中央の超一流大学でしょう?
 私も、そこ出身なの。だから灯花も、その大学を目指さなければいけないのよね?(第三章より)

・お話があると言ってるの。これは母としての命令よ。(第一章より)

・ダメよ。もっと勉強しなさい。(第一章より)

・あなたは私のダメな恋人か何かですか?(第一章より)

・私は灯花に嫌われてもいいのよ。むしろ、嫌われるのが役目なのよ。(第三章より)

・法月先生が言ってたわ。一時的なものとはいえ、暴力ほど効率のいい指導はないって。(第三章より)



<法月名言集>

改めて読んでみると「女王の教室」に出てくる先生が言いそうな言葉ですね。
言ってることは間違っていないとは思うけど……という感じです。

第一章

・努力しろ。私は森田賢一を高く買っている。

・クイズをしているのではない。
 現状をよく踏まえた上で、その多面的な要素とやらから必要と思われる一面を考えろ。
 知識ではなく知恵を振り絞れ。試験は、もう始まっている。

・何かを得るには、何かを失わなければならない
 森田よ。特別高等人とは、社会の権化だと知れ。
 一手先、二手先なら誰でも読める。だが、我々は常に社会を監視し、大局を推察しなければならない。
 病人がいなければ医者は失業する。戦争がなければ軍人は解散する。罪人がいなければ特別高等人も必要ない。

・いわれたことしかできない人間を三流。
 いわれたことを上手にできる人間で、ようやく二流。
 森田はいつになったら一流になるんだ?

・謝るな。指導者は謝るな。誰かに責任を押し付けられない立場の人間の謝罪が許される社会は
 堕落の一途を辿る。

・子供が罪を犯したとき、誰が警察に頭を下げる?
 部下が犯したミスは、誰が責任を取る?
 わかったか? わかったら黙って見ていろ。
 痛いぞ……自分のせいで誰かが傷つくというのは

・うわぁぁぁっ……ごめんなさい、ごめんなさい!(by 灯花)
 そう、その気持ちが大事だ。謝罪の誠意を忘れてはならない

・人は、すぐに忘れる。自分の損得に関係のない話を覚えようとしない。
 ならば、話を忘れると損をするということを教えなければならない。そうして、社会に罰則というものができた。
 罰則は必ず明文化されている。忘れてましたとは言わせないために、だ。

・何も難しいことはない。
 言っても聞かない子供は、殴るしかないという乱暴な理屈を実践しているだけだ。
 お前たちはただ、今の気持ちを忘れないようにすればいい。
 痛み、恐怖、悔恨……顔から血の気が失せ、胃が痛くなるような感覚を決して忘れるな。

第三章

・人生は、上がるか下がるか。現状維持などない。なぜなら、自分が成長しなくても時間だけは過ぎていくからだ。
 そして、お前はあの親子を管理する立場にあった。
 よく覚えておけ……管理とは、成長させることだ。現状を維持することではない。

・個人ののろまな足並みにペースを合わせていたら、社会が成り立たん。
 娘の意思を尊重しただけだ。そして、その意思が、脆弱なものであるという、その過程を森田の後学のために見せておこうと思ったのだ。
 人に決断させられない人間は、人の上に立てんぞ。

・お前らはそうやって、すぐ、わかりやすい悪に飛びつく。いつでも誰かに責任を取ってもらおうとする。
 国が、資格が、こんな特許が、親が、信頼する友人がこう言ったから……すぐ、安心し、思考を停止する。
 そのくせ、裏切られたときには、豚のようにわめき散らす。

・一度、自分を見つめなおしてみろ。最低な自分を、な。

・なにも考えるな。人間は、えてして考えるから不幸になる。
 お前は、ただ黙って、殴られた痛みを覚えていればいいのだ。
 そうすれば、幸せが待っているぞ。

第四章

・女性関係において、感情的になる男は、見苦しいだけだぞ?

・いい感じに、天狗の鼻が伸びてきたな。

第五章

・獲物は決して逃すな。何があっても、喰らいつけ。
 し、しかし、どこをどう探しても見当たらない場合も……ひぃっ……!(by 兵士)
 (兵士を銃で撃ち殺して)地球は、丸いのだ。


お勧め攻略ルート


 お勧め攻略ルート(泣き度が大きい順に)
 (だんだんと来るような感動を求める方は、これとは逆の方向で攻略してください)

 さち ―→ 灯花(とうか) ―→ 夏咲(なつみ) ―→ 隠れキャラ公式エンド?



買った理由



 たまたま、コンプティークの新作PCゲームを読んでいたら、ストーリーがおもしろそうだということと
 ストーリー的に泣きゲーになっているのかと思って、買って見ました。




システム快適度


 
 システムは使いやすかったです。過去ログ機能もあって、声の再生が何度も出来ます。
 セーブ画面も100箇所あるので、困ることはありません。

 そして、ショートカット一覧という機能の説明があります。このキーを押したらオートモードになるとか
このキーを押したら高速スキップになるとかあるのは、丁寧です。
でも、キーの説明をつけるよりは、オートモードや高速スキップは最初からシステムの中に組み込んで欲しかったです。
 最近では、直前の選択肢に戻る機能や一度やった場合は次の選択肢まで飛ぶ機能もあります。何周もやるゲームであれば、
高速スキップよりは、次の選択肢まで飛ぶ機能はあればよかったです。

 そして、オープニングで義務のバッジのマークが出ています。義務が解消、つまりヒロインを一人攻略すると義務のバッジが消えます。



音楽


 
 音楽はそのシーンに合っているのが多かったので、問題は特になかったです。
ただ、主題歌が暗いからあまり馴染みにくいかもしれません。
 個人的に好きなのは、第五章で流れる「Watch out!(訳:急げ!)」です。
 タイトル通りピアノのスピード感があるから、緊迫感が出る曲です。



その他の用語説明


 
<義務とは?>

 ここで登場する義務とは何なのか?ということですが、簡単に言えば、二度とその罪を犯さないようにできる罰のようなものです。刑罰と一緒です。
 例えば、人を殺したら「結婚しても子供を持てない義務」を負わされ、車を運転中に事故ったら「二度と車を運転できない義務」を負わされます。
 つまり、犯罪の種類に応じて、義務の種類が事細かに決められていて、特別高等人は、その犯罪者一人一人を監督する立場にあります。

 以前、アメリカで、痴漢をした犯人に対して裁判所が下した判決は、「一ヶ月女装の刑」というものでした。
 これは、痴漢をするのは「女性がどういう者なのかよくわかっていないから、こういう犯罪を犯すのだ。だったら、自分が女性になって、女性がどれほど大変なものなのか、身を持って体験すればわかるはずだ」という考えで、この刑が実行されたというのがあります。
 この女装の刑の様子は全米で生中継されて、女性の気持ちを身を持って体験した痴漢犯は、二度と痴漢という犯罪を起こさせない気分にさせられたようです。

 車輪の国の義務は、このアメリカの判決に似たようなものがあります。

 さらに、車輪の国には極刑というのがあります。日本の極刑は死刑ですが、車輪の国の極刑はガクガクブルブルものです。
「極刑は従来の義務を課すといった教育刑ではない。死よりも辛い苦しみを与えるのが目的なのだ」というのだから、かなり怖いです。


<義務を守らないとどうなるのか?>

 いくら、義務を負わされるといっても、その義務を守らないとそれを課した意味がありません。
 もし、義務を守らずに違反を犯したらどうなるのかというと、強制収容所に連行されます。
 ナチスのユダヤ人迫害のようなことをされます。

 つまり、いくら言うことを聞いてもダメだということは、社会から完全に隔離する必要があるということから、そうなったんじゃないかと思いますが、 強制収容所の実体はゲーム本編語られることはないので、強制収容所で何をされるのかは、最後までわかりませんでした。

 だから、義務を持ったヒロイン達は、強制収容所に連行されるのを恐れて、義務を守っているというのがあります。


<義務を持った人の生活>

 義務を負った人は犯罪者ということですから、いろいろと行動が制限されています。
 まず、義務を負った者は、義務を持ってるということを周囲にわからせるようにバッジ(どう見ても服に縫い付けているようにしか見えない)を常に身につけないといけなくなります。

 バッジの種類も決まっていて、どういう義務を負っているのかわかりやすいようにマークで示されています。例えば、「恋愛できない義務」だったら、ハートを半分から真っ二つにされて、ハートブレイクみたいな感じのマークになっています。
 ちなみに、義務の種類は、小学校の義務教育で細かく教えられるようです。

 そして、バッジをつける場所も決まっていて、前面(胸)と肩の二つです。
 周りに迷惑をかけない義務(1日が12時間の義務)だったら前面の一つで済みますが、重罪(恋愛できない義務)だったら、前面と肩、そして背中の三つになってしまいます。

 どうでもいいことですが、髪を伸ばせば背中につけたバッジは隠れるから、意味がないのでは?と思いますが。
 ヒロインに長髪が多いのは、このためなのかもしれませんね。

   バッジを身につけるわけですから、着るものも制服だけと限定されます。
 制服以外の物を着る場合は、特別な許可がいります。
 もちろん、これも義務なので、おしゃれのために私服を許可なく着ると、強制収容所に連行されます。
 だったら、制服を切る必要の無い大人は、どういう服が限定されるのか気にもなります。

 そういう意味で、原画担当の人は、私服を描く必要が無いから、ある意味、楽な仕事のような気も…… 


<特別高等人の地位について>

 特別高等人になるには、詳しくは、第三章や第五章で語られますが、難関です。
 日本で例えると、東大を優秀な成績で卒業して、さらにエリートの中でも特に優れたエリートでないと特別高等人になれません。
 日本だったら、法務教官の採用試験を受けて内定を取れば、四月から刑務所の看守として働くことができますから、そう考えると難関というのがわかります。

 特別高等人になるには、一流大学を出て、見習いとして、特別宿舎に隔離させて、そこで体力訓練や専門的知識を学びます。そして、最終試験として、義務を持った人を更正させることができれば、特別高等人となれます。
 ただし、難関なので、毎年一人出るか出ないかのようです。

 特別高等人の地位は、警察や他の治安部隊よりも立場は上で、トップにいる大統領の次くらいの高い地位にいると思われます。
 その高い地位にいるためか、特別高等人の数は足りないというのが実情。

 ある特別高等人は、一つの市の市長に就任し、その市に義務を持った人全員を住まわせて管理しているところもあるらしいです。

 そんな特別高等人の地位ですが、義務を負った人間に24時間付きっ切りで監視を行うようです。つまり、ヒロインと同じ部屋に住んで義務を守っているか監視するわけです。
 だから、義務を持った者のプライバシーは筒抜け、指導のためなら半殺しの目に合わせても大丈夫という権限を持っています。


<最初に出てくる主人公のセリフ>

 俺は森田賢一。SF小説と姉貴が大好きだ。いつも読んでる本(SF小説)の中で『日本』という国が出てくる。
あんたも知っているかもしれないが、面白おかしくて不思議な島国だ。
 何が面白いかって? 例えば、現実じゃあ、人を殺したら『一生子供を持てない義務』を負うだろう?
そして、『特別高等人』というおっかねえ連中の保護観察を受けることになる。

 でも、『日本』は違う。人殺しは首吊って殺されるんだそうな。
 もしくは、十年か、二十年か、はたまた一生かわからんが、とにかく刑務所ってトコに入れられる。
 刑務所は牢屋とか監獄ともいうらしくておれたちの国にはないものだから面白い。
 この刑務所ってのが曲者で、人殺しも盗人も痴漢親父もみんなココに入る。犯罪者のテーマパークみたいな感じかな。
 もう少し軽い罪……車のスピード違反なんかは国に金を払えばいいらしい。
 首吊りか、刑務所か、金か……

 おれたちの国には罪に応じた罰が多種多様に細かく定められているけれど、日本には大きく分けてこの三つしかないらしい。
 そんなんでヒトが更正するのかって、おれたちなんかは思うだろう?
 まあ、逆に、人殺しに子供を持てないようにするだけで世の中は大丈夫なのかと問い詰められたら怪しいもんだ。

 問題は『日本』にしろ、この『国』にしろ、そんな世の中でどうやって生きていくのかと。
 おれたちみたいなペーペーがどうやって姉貴と愛を叫ぶのかと、そういう話だ。

 ――近い未来
 ――そう遠くない場所




プレイ後の謎


 
 めでたく完クリしたわけですが、プレイ後にいくつか謎が残りました。
その謎をいくつか書いてみようと思います。
 ただし、ネタバレしていますので、大部分は伏字にしています。

1、樋口三郎が革命を起こした理由

 この国は南方の国と戦争に勝利した後、特別高等法が1999年に制定されて、その法律の撤廃を求めて革命を起こすわけですが、どうして革命を起こ したのでしょうか?
 この国は、大統領が治めているわけだから、革命を起こすよりは大統領選に出馬して当選すれば、法律は変えられるのではないかと思います。

 革命は成功すれば英雄ですが、失敗すると国家反逆罪で死刑ですから、わざわざ革命という危ない橋を渡る道を選ぶことになった経緯をもうちょっと掘り下げて欲しかったです。
 革命を起こすということは、それなりの支持者がいるわけですから、自分の身が危険になるよりは、その支持者を使って大統領になって、法律を変えたほうがかなり安全になるのではないかと思います。

 大統領のいる国に革命が起こるなんて、1991年のルーマニア革命くらいしか聞いたことがないですが……普通、革命が起こるとすれば悪政を行った王国とかが多いですね。
 樋口三郎は、国全体の支持者が多かったですから、大統領選に出馬していたら、間違いなく当選していたと思います。

2、日向夏咲が義務を負わされた理由(↓以下ネタバレなので全文伏字にしています)

 第四章で、日向夏咲が義務を負わされた理由がクラスメートに物をもらった、それが男に媚びていると思われたからということですが、疑問点がひとつ浮かびました。
 日向夏咲に好意を持っていたクラスメート(金持ち)が物を渡したりしていたけど、夏咲の心は樋口健(主人公)のほうに惹かれていた。
それで、クラスメートは腹を立てて、他の男が誰も近づかないように警察に連行したのだと思います。(警察に通報したのもそのクラスメート)

 そうなってくると、第四章でそのクラスメートが出てくるのではないかと思っていましたが、結局は出てきませんでした。夏咲エンドで出てくるのかなとも思っていましたが、出てきませんでしたし。
 じゃあ、あの義務を課したのは何だったんだ?と思ってきました。つまり、繋がりがないわけですね。  この繋がりも何かあったほうがいいのではないかと思えてきました。

 というより、法月さん、夏咲の義務が冤罪とわかっているなら義務を解消してやれよ!と思ってきます。最後に極刑の人の義務を解除しているのに、なんでこういうことをやっているのかが不明です。
 賢一は「人の運命を弄ぶな!」と法月に怒りをむき出しにしていましたが、まさにその通りですね。

3、強制収容所の実態(↓以下ネタバレなので全文伏字にしています)

 個人的には、明かして欲しかったですね。ゲームで出てくるのは北朝鮮にあるような建前のみで実態は謎に包まれたままでした。
 強制収容所は何をするところなんでしょう。ナチスだったら、強制労働とかですが、義務が教育刑なら洗脳とかやってそうです。
 でも、一度強制収容所に送られたら戻ってこない確立が高いらしいです。夏咲の両親も灯花のバッドエンドも結局は戻ってきませんでした。
 洗脳で精神が崩壊したか、強制労働で過労死したのか不明です。この国って大統領制を取る民主制でありながら政策は社会主義のように秘密なのではないかと思ったりもしました。

4、第五章について(↓以下ネタバレなので全文伏字にしています)

 法月が調子に乗る章ですね。SF小説にしか出てこない牢屋をなぜか学校の地下に作ったり、ギロチン台を使って公開処刑を始めたり、発売中止になったSF小説に影響を受けてる法月さんは何をしたかったのか気になりました。
 最後には「私を止めてみろ!」と賢一に挑発していますし。ある意味、法月さんは大統領より怖い存在です。

 最後は、賢一を助けているわけですが、助けることが目的ならこんな挑発や警察に犯罪人として指名手配とかはしないはずです。法月さんは、いったい何をしたかったのかが不明です。

 もうひとつ極刑というのが出てきますが、コンビニや民家に取っては迷惑な刑ですね。万引きや強盗し放題ですから。それで、警察に被害を通報したらそれだけで強制収容所行きになりますから、かなり迷惑じゃないですか。
 極刑は極悪人がなるわけだから、どこかに閉じ込めるわけでもなく、野放しになるわけだから、ある意味怖いです。
 レイプされても、被害届けを出したら強制収容所行き……この人は泣き寝入りをするしかないのでは……
 極刑を受けた人も「腹が減ったから仕方なく盗んだ」とか言い訳すると思うから、アフターケアが出来てないような気が……


 でも、この特別高等法が日本で成立することは、絶対にないと言い切れます。
 日本の憲法には、憲法優位説という考え方があって、憲法に違反する行為を法律で制定することはできないとなっています。

 もし、特別高等法が制定されたら、義務を負ったら差別を受けますし、義務のバッジをつけることは屈辱的ですし、逆らったら強制収容所というのは、憲法13条の公共の福祉に違反しています。
 公共の福祉というのは、テレビを見たり、サイトの更新をしたり、タバコを吸ったりといった日常生活をする自由のことです。これが制限されたら何もできないのと同じになるから、これを邪魔するのはいけないというのが憲法13条に書いていることです。

 国家が暴走して、国家権力がこんな法律を作らないことを祈るばかりです。この車輪の国は北朝鮮とどこか似ている気がします。

 ところで、タイトルにもなっている向日葵って平和の象徴だとゲームではなっています。向日葵の花言葉は「平和」ではなく、「私の目はあなただけを見つめる」 、「あこがれ」、「崇拝」、「熱愛」、「光輝」、「愛慕」、という意味になるから、実際は平和の象徴なのかどうか知りませんが、こういうのは始めて知りました。